学校の宿泊行事を今実施すべきか

 

学校の宿泊行事を今実施すべきか


1 藤沢市立学校における宿泊行事の実施状況



 1月以降、学校での感染が多発しているにもかかわらず、多くの学校で宿泊付スキー林間学校が実施されています。この実施、延期/中止の判断は学校ごとの校長判断であるようです。


 藤沢市のガイドラインはありますが、そのガイドラインが最終的には学校判断ということになっているので、結局学校ごとに判断が分かれています。


 藤沢市立中学校では、冬場に八ヶ岳でのスキー教室が予定されていました。

 この実施状況において、保護者間の情報共有で知り得たことは以下の通りで、以下のように学校ごとにまちまちです(いずれも1月21日以降に実施予定だったもの)


  A中学校 中止(延期かも)

  B中学校 去年のうちに、2泊の予定を1泊に変更と通知していた。

 1月20日にそれを日帰りでの実施と通知。更に1月24日に「3月に延期」と通知。

  C中学校 1泊で実施。

                   D中学校 1泊で実施予定だったが、

                                    前日に陽性者が確認されて急遽中止(延期かも)に。


 翻弄される子どもの心情を思うと本当にかわいそうで、学校の疲弊もどれだけ強いかと思います。


 令和4年1月19日付神奈川県教育委員会教育長 の通知「 令和4年1月 21 日以降の市町村立学校の教育活動等について」には、宿泊行事に関して以下の記載があります。

 220119_notice_elementaryeducation_1.pdf (pref.kanagawa.jp)


 「○ 学校行事等について ①修学旅行等について ・修学旅行等の宿泊を伴う行事については、長時間の移動、集団での宿泊による感染 リスクがあることから、延期又は中止とする。 ・宿泊を伴わない校外活動のうち、県境を越えるものについては延期又は中止とする。」


 藤沢市立中学校において上記のように実施した学校がありますが、この通知に明確に反していります。感染症対策に関わるこのようなことを学校判断で行ってよいのでしょうか?

 これは、藤沢市のガイドラインに問題があり、見直すべきということではないかと思います。

 藤沢市のガイドライン:②藤沢市立学校新型コロナウイルス感染症対策について.pdf - Google ドライブ


「藤沢市立学校新型コロナウイルス感染症対策について 2021年4月9日改訂」



2 宿泊行事前に全員検査を実施すべきではと教育委員会に伝えた回答


 以上の状況を踏まえ、宿泊行事を控える子どもがいる保護者が藤沢市教育委員会に対し、「実施するのであれば事前に参加者にPCR検査や抗原検査を実施してほしい」と伝えました。


  

 これに対する藤沢市教育委員会からの回答は以下の通りでした。 


「旅行前のPCR検査や抗原検査の実施につきましては、費用面や検査を希望しない家庭への対応などの課題があることから、今のところ一律に実施する予定はございません。引き続き、学校から各家庭に旅行前の入念な健康観察をお願いするよう、各学校に周知いたします」


 大変残念なことですが、藤沢市教育委員会は、宿泊行事前の検査を実施する意思はないということです。そんなのおかしいと思う市民が意見を伝える必要があります。


3 今後(2022年2月、3月)の宿泊行事はどうなるのか?


 2月下旬に市内の中学校に八ヶ岳スキー教室を予定しているところがありましたが、延期されたかどうか、私たちもまだ情報を得られておらず、気になっています。

  

 また、小学校6年生は、昨年秋の予定だった日光修学旅行が新型コロナ感染拡大状況を踏まえて3月に延期されているという学校があります。


 楽しみにしている子どもの気持ちを思うととてもつらいですが、宿泊行事という性質上、十分な感染対策がとれるとはとても思えません。

 就寝中や入浴中はマスクを外さざるを得ないでしょうし、バスの道中や食事中も会話はしてはいけないなどという旅行が本当に楽しく意義あるものでしょうか。


 また、今後キャンセルとなった場合、キャンセル費用を家庭で一部負担しなくてはならないという説明を受けた保護者もいます。

 

 そこまでして実施できる状況なのか、実施するなら最低限事前検査をすべきではないでしょうか。


 実施して、宿泊行事中に発熱など発症した場合、具体的には以下のようなことが心配です。

 愛知県、兵庫県など、宿泊行事中に発症者がいて途中で中止になった事例は現にあります(後述)

 

 以下のような心配について保護者有志から教育委員会に伝えていますが、安心できるような回答は得られていません。

  

●児童生徒が発症し陽性と判明した場合、現地の療養施設に隔離されることとなり、そこまで保護者が迎えにいかないといけない。迎えにいくまで児童生徒に教職員が付き添う余裕はおそらくないだろう。公共交通機関を使うわけにいかないが、自家用車がない/運転できない保護者はどうすればいいのか不明。その交通費は保護者負担。迎えにいきたくても、すぐにはいけない保護者もいるのではないか。

●教職員が発症した場合、児童生徒の引率に支障が生じるのではないか。複数の教職員が発症することもあり得る。そういうことのシミュレーションができているのか。

●現地でクラスターとなった場合、現地の医療機関を圧迫するのではないか。

●発症した児童生徒は、「自分のせいで行事が中止になってしまった」と無用な罪悪感をもってしまうのではないか。

●宿泊行事中に隔離されるのだから、感染者の特定は容易であり、普段から「プライバシー保護」を重視しているのであれば尚更、このような事態を避けないと整合性がないはず。

●発症者がいれば途中で行事は中止せざるを得なくなる。無用な疲弊や不満感も生み、子どもを翻弄してしまう。

●科学的合理性ある対策をとらず、運頼みで行動していいという負の教育効果を生じさせてしまわないか。



4 他の自治体の状況

(1)兵庫県立高校
 兵庫県の県立高校では、「1月25日までに38校が実施したが、旅行中に生徒の陽性が判明する事例も複数発生。現地の保健所の指示で宿泊療養施設に入所し、陰性になってから保護者が迎えに行く」ことになるなどの混乱がみられた。





 愛知県立高校では、2月8日から沖縄に修学旅行中だったものの、現地で8人陽性と判明し、修学旅行はとりやめとなってその他の生徒は翌9日に愛知県に戻ることになってしまったという例が報じられています。


東海テレビ(2022/2/9)

251人で8日朝から沖縄へ…修学旅行中だった愛知の高校生8人 現地でコロナ陽性判明 修学旅行は取り止め」


 兵庫県立高校や愛知県立高校のようなことが、今後小中学校の宿泊行事でも起きる可能性を想定すれば、今は、宿泊行事は控えるべきではないでしょうか。

 このような場合にどう対応するかの十分な対策がとられているとは到底言えず、「どうか誰も熱など出しませんように、陽性と判明するようなことがありませんように」という神頼み運頼みで実施しようとしているようにしか見えません。


 知人がいるさいたま市立中学校では、1月中旬に2泊で福島県にスキー林間学校を実施したが、その際、学校からの事前説明会では現地で発症した場合にはその生徒だけが残ることになり、「保護者が車で迎えにいくことになる。車にスタッドレスタイヤをつける必要がある」などと説明されたそうです。

 運頼みの賭けでそのようなことを行っていいものか疑問があります。




 宿泊付のスキー教室は他の自治体でも実施されているようで、川崎市教委はかなり強行実施であるように見受けられます


    川崎市民の方のツイート


    



    


 

 なお、東京都北区など、事前検査を行った上で実施するという学校もある模様(こまざき美紀区議ブログ 


こまざき美紀・東京都北区区議ブログ (2022/1/25)





 


 以下のnote記事によると、渋谷区では保護者有志が区議会に陳情を出して「新型コロナウイルスから子どもたちを守り、また日常を取り戻すためにPCR検査体制を充実させてほしい」という要望を、陳情として渋谷区議会へ提出したそうです。


 区議会文教委員会での審査の結果、区民からの要望として区関係者へ連絡され、また別添書類として「東京都の制度利用を含め、検査体制を整え、新型コロナウイルスから児童・生徒を守られたい。」という文言を添えられた」とのこと。この保護者有志は区立小中学校に対し、宿泊行事を実施する際には事前検査するよう申し入れています。


区立小中学校の校長先生宛にお手紙を送りました(東京都の制度利用について)|子ども達の日常をPCR検査で取り戻す会@渋谷|note


 逆に、保護者有志がここまで動かなければならないほど、宿泊行事を検査もなく実施しようという空気が学校現場に普通にあるということだろうとも思われます。




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