学校での感染についての適切な情報公開を

 1 3日連続の市立学校での学級閉鎖


  藤沢市では、1月19日も学年閉鎖・学級閉鎖がありました。

  藤沢市プレスリリース 

  年明けから連日、保育園、学校、学童クラブといった子ども関連施設での休園や学級閉鎖が市から報告されています。 https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/pressreleases/index.html


 1月17日、18日、19日と3日連続で以下のように学級閉鎖・学年閉鎖が報告されています。この分では20日以降も続くことが見込まれますよね。。。

(1/17報告分)

 学級閉鎖日:1月15日

  再開予定日:1月24日

  感染者等:児童6名

 保健所による施設調査:調査中


(1/18報告分)

 学級閉鎖日:1月18日

 再開予定日:1月24日

 感染者等:教職員1名・児童7名

 保健所による施設調査:調査中

(1/19報告分)

 <学年閉鎖>

学校学年閉鎖日再開予定日保健所による施設調査
A1月19日1月24日

調査中

1月18日発表した学級閉鎖と本日発表した学級閉鎖が同一学校・学年のため、学年閉鎖としました。

 

<学級閉鎖>

学校学級閉鎖日再開予定日感染者等保健所による施設調査
A1月19日1月25日児童6人調査中
A1月19日1月25日児童7人調査中

 


2 藤沢市の情報公開の問題点 

 上記見てわかるように、学校名はわかりませんし、地区名さえわかりませんし、小学校か中学校かさえもわかりません。感染が確認された学校の保護者には「本校で感染者が確認されました」「検査の対象として関係する生徒のご家庭への連絡は済んでおります。関係者以外の生徒については明日以降の授業も平常通り行います」という内容の一斉メールが届いています。

 検査がどれくらいの範囲でされているのか、保護者には知ることができません。

 1月18日と19日には、同じ学校の同じ学年の別々のクラスで感染が確認されたそうです。そういうことからすれば、感染者が確認されたクラスだけの検査では足りないということなのではないのでしょうか(そのクラス全員の検査をしているかどうかさえわかりません)。

 そのような検査をできないなら、当該学級の閉鎖のみでは足りないということにはならないでしょうか。色々と懸念されますが、なにぶん公開されている情報が乏しく、少しでも自主的に感染予防対策を講じようと思ってもそのための判断材料も与えられないという感じです。


 それから、藤沢市教育委員会のサイトではなく藤沢市のサイトでの公表なのもとても情報を探しづらいです。藤沢市のサイトのほか藤沢市教育委員会のサイトもあることはあるのですが、全く活用されていません( 藤沢市教育委員会 こちらのサイトには「新型コロナ」の言葉さえありません)。

 学校プロパーの情報発信は教育委員会のサイトを活用して頂けないでしょうか。

 例えば熊本市教育委員会は、教育委員会のサイトで学校関連の情報を掲載し、新型コロナ関係の情報についても見つけやすいのですhttps://www.city.kumamoto.jp/hpkiji/pub/list.aspx?c_id=5&class_set_id=2&class_id=324

 

3 保護者有志要望書

 藤沢市の情報公開については、昨年10月に保護者有志で藤沢市に提出した要望書にほかの自治体の例も挙げながら詳細に記載しました。保護者有志要望書

以下抜粋します。残念ながら全くこの要望を受け入れて頂いていないのが現状です。早急の改善を求めます。

 【要望事項】 

3.情報公開について

(1) 感染拡大防止や保護者の不安・憶測解消のため、学校での感染情報を積極的に公開することとし、公開基準を統一した上で情報公開の透明性を高めて下さい。

(2) 感染者が発生し、濃厚接触者を特定したにも関わらず検査を実施しない場合、家庭でのリスク評価のため、検査を実施していない事実及び理由について市民に周知して下さい。

(3) 学校での感染対策や感染者に関する情報は、教育委員会のホームページを活用するとともに情報を充実させて下さい。


(4) 重要な通知は、市長や教育長が市民に寄り添ったメッセージを動画等も活用して発信し、要点を広く周知してください。


【要望の理由】


3.情報公開について


(1) 情報公開の必要性

  学校で感染者が確認された場合には、必ずその事実と検査結果等を迅速に市から市民に公表して下さい。保護者がこれを知ることができないと、リスクを評価して登校ないし昼食を差し控える等の自主的なリスク回避行動をとることができません。

  子ども自身に基礎疾患があることもありますし、同居家族の年齢や持病等の事情を考えて、特に慎重に登校のリスクを判断したいという家庭もあります。

  家庭ごとに自主的に判断できるよう、リスク評価の材料としての適切な情報公開は極めて必要性が高いものです。また、学校での感染者の有無や人数は、当該地域での感染状況の指標の一つにもなり得るもので、市民にとっても公共性が高い情報といえます。

  
(2) 藤沢市による情報公開の現状と問題点

  1. 学校での感染状況については、教育委員会ではなく市のホームページにおいてなされており、かつ、市のホームページでも新型コロナ感染症についての特設ページが設けられているわけでもありません。従って、学校での感染者の公表の有無についてはわざわざ検索しないとわからないような仕様になっているのが現状です。

  2. 市からの公表内容が時期によって異なり、公開についての基準が統一されていません。具体的には、2021年4月29日公表の学級閉鎖の事例(資料31)と同年9月10日公表の学級閉鎖の事例(資料2)を比較すると、内容に以下のような相違があります。


4月29日公表事例:

  • 児童/教職員の別(児童1名と公表)

  • 最終登校日

  • PCR検査実施範囲(同クラスの児童28名と担任、接触児童1名を検査)

  • 検査結果(児童2名の陽性判明と公表)

  • 学級閉鎖予定期間

9月10日公表事例:

  • 陽性判明日と学級閉鎖予定期間のみを公表


  保健所業務逼迫時には無症状者に検査しないとの方針であれば、問い合わせた保護者に対して個別に回答するのではなく、市から全保護者に平等にその情報を公開すべきです

  また、時期によって学校での検査方針・基準、情報公開内容が異なるため保護者が混乱し、かえって、「何か市が公表していない重要な事実があるのではないか」と疑心暗鬼になってしまうという状況も生まれています。情報公開基準を公表し、時期を問わず統一した基準で情報公開することによってこのような保護者の不安を払拭することができます。

  1. 感染が確認されても市から市民向けに公表されない事例が複数確認されています。これらの事例では、感染者が確認された学校での保護者に対する情報公開さえ不十分で不透明です。  

  以下の事例1及び事例2として掲載した画像は、9月1日以降に藤沢市立学校で感染が確認された事例について、学校から保護者には通知された内容です。しかしこのいずれの事例についても、市立学校で感染者が確認された事例があったという報告としてはホームページ掲載も行っておらず(9/25時点)、市議にも伝えないなど公表されていません


事例1:
教職員/児童生徒区分、学年、学級などの情報がないため、かえって保護者の間での詮索や憶測を生んでいる。また、「濃厚接触者調査は実施した」との記載はあるものの、肝心の結果が書かれておらず、検査方針・状況にも触れていないため、感染拡大の恐れがないのか判断できない。そのため、学校運営上の影響がないとした根拠が薄弱であり本当に登校させるか悩む保護者が見られる。

事例2:
2日連続の感染者発表にもかかわらず、教職員/児童生徒区分、学年、学級などの情報に加え、前日の感染者との接触度合いの情報がないため、感染実態把握と登校時のリスク評価のための情報が不足している。濃厚接触者の調査結果を待たず、臨時休業(学級・学年閉鎖など)の措置も取らないまま通常の授業を継続できると判断した理由が書かれていないことから、本当に通わせてよいのか悩み、自主休校に踏み切る保護者が見られる。

 事例3:
事例1、2と同様、教職員/児童生徒区分、学年、学級などの情報どころか、濃厚接触者の有無、検査の実施の有無や範囲の記載もない。臨時休業の措置をとらないと判断した根拠の記載も抽象的である。


  いずれの事例についても臨時休業は行われていないようですが、学校から保護者への情報通知さえも不十分であることから、学級閉鎖を行わなないという判断が疫学的に適切だったかさえ、保護者は判断する術がありません(前述した通り、他自治体にならい、本来は一人でも感染者が確認された場合は速やかにクラス全員にPCR検査を行い、その結果が出るまでは学級閉鎖とすべきです)。登校時のリスク評価や不安解消に必要な情報が不足していることは重大な問題です。

  事例2と事例3はいずれも同じ地区に所在する学校です。事例2では二日連続の感染者確認ということだと、学校でのクラスター発生がないか確認する必要がありますし、隣接する近い中学校で近い時期に感染が確認された以上、広い範囲でPCR検査を実施し、無症状の感染者を確認する必要性は極めて高いものです。

  それにもかかわらず保健所がなぜ事例1~3において検査を不要と判断したのか、具体的に根拠を明らかにして下さい。また、検査実施の有無を必ず公表して下さい。検査がなされたかどうかも、市民に知らされるべき重要な情報です。

  

事例1



     


事例2









事例3



(3) 情報公開を求める内容(市民向け)

  以上より、学校で感染者が確認された場合には、迅速に以下の事実について市からホームページ掲載等により市民に周知することを要望致します。リスク評価のためには、最終登校日が特に重要です。

  これについては2021年4月29日には藤沢市が公表していた事項と同じです。

  • 最終登校日

  • 児童生徒/教職員の別

  • 陽性判明日

  • 濃厚接触者の有無

  • 検査方針・範囲・結果

  • 臨時休業範囲及び予定期間


  これに加え、できれば学校が所在する地区名(片瀬地区、善行地区等)も公表して下さい。これは、同じ地区であれば、学校が異なっても塾や習い事等が共通していることも多く、同居家族や子ども自身の健康上の事情等でより慎重にリスク判断をしたい家庭は、より具体的なリスク評価情報を必要としているためです。

  なお、現在、同じ藤沢市であっても、子ども青少年部青少年課は、放課後児童クラブにおいて感染が確認された場合、以下の情報は明らかにしています(2021/9/1 発表分)。

  • 児童/職員の別

  • 陽性判明日

  • 症状の有無

  • 最終勤務日・通所日

  • 臨時休所期間(予定) (資料32)


  これでも、検査実施の有無やその結果の記載がない等不足はありますが、現在の教育委員会の公表内容はこれを下回るものであり、同じ藤沢市の、子どもに関わる別の部署で開基準が統一されていないことには市民として疑問と不安を感じざるを得ません。

  また、(5)に記載する通り、他自治体の例を見ると、熊本市、寝屋川市、福岡市等、学校名を公表しているところもあります。できれば藤沢市でも学校名の公表をして頂きたいとも考えますが、そのためにはプライバシー保護と、万一の場合の感染者に対する誹謗中傷対策(弁護士との連携等)を同時に講じることが必要と存じます。それらの準備がいまだ不十分な状況であれば、さしあたり地区名の公開の検討から始めて頂ければ幸いです。

(4) 情報公開を求める内容(保護者向け)

  以下の情報については、市のホームページ等で市民一般に向けて公表しないとしても、感染者と同じ学校に在籍する児童生徒の保護者に対しては、学年を問わず開示して下さい。疫学的には、発症2日前から感染性があるとされていますので、市民向けの情報として挙げた最終登校日に加え、発症日と学年の情報が重要となります。


  • 発症日

  • 学年

  • 感染経路

  • 臨時休業不要と判断した場合にはその判断根拠

  ご理解頂きたいのは、保護者がこのような情報公開を求めているのは、いたずらに感染者のプライバシーを詮索するためではなく、子どもと家族の健康を守るための最低限のリスク評価材料が必要であるためだということです。以上のような情報が明らかにされてこそ、根拠のない誹謗中傷や疑心暗鬼に基づく噂の流布などを抑えることができます。

  先述した墨田区の西塚保険所長は、施設名公表に関してインタビューで「匿名にしても、うわさで広がるからです。名前がわかれば、区民が『あそこでも』と自分事として危機意識を持てます」と語っています(資料33)。

  川崎市では、臨時休業する学校の校名を公表しており、その理由として「臨時休業を実施した学校名はSNS等により拡散される等の状況がありましたので、以後、児童生徒が感染し当該校を臨時休業とする場合等については、臨時休業する学校の校名を含めて公表しています」としています(資料34)。

  そもそも民主国家では透明な情報公開は基本のはずです。プライバシー保護を口実に市民に必要な情報公開をしない、あるいは公開対象や公開範囲を時期によって理由を明示することなく変更するということはあってはならないことです。現状、学校での感染状況に関する情報公開が不十分であることに関しては、藤沢市は、市民の知る権利(憲法21条)を十分に保障していないと評価せざるを得ません。

  情報公開基準の公開や、公開内容を改めることについては予算措置を伴うものでありませんので、早急にご対応下さいますようお願い致します。

  また、重要な通知については、学校を通じて各家庭に文書のみで配布する形から、市長または教育長などリーダーが自ら、市ホームページやSNSを通じてテキストおよび動画でメッセージを発信したり、記者会見を行ったりすることを通じて、市民の不安を取り除き、重要なメッセージが確実に届くように努めてください。

  様々な事情から自宅学習を選択した家庭は、学校で奇異な目で見られないか、また登校を再開したときにクラスに馴染めずいじめられないか、といった不安を抱えています。
  「リスクが高い状況では、家庭の判断で給食を食べずに帰ることや、自宅でオンライン授業を受けることを選択できます」というメッセージを発信いただけるだけで救われる家庭があります。自宅学習を選ぶ家庭は教室の密を減らすことで登校している児童生徒や教師も守っていること、緊急事態では特別な選択ではないこと、登校することも自宅学習することも認められることなどを明確に伝えていただくのが重要です。川崎市では市長が、小田原市では教育長が動画でメッセージを発信しています(資料35,36)

  なお、前述した通り、不織布マスクの効果について通知頂いておりますが、通知の一文だけでは伝わらないという声があります(資料37)。動画メッセージ等で啓発いただきたいことを併せて要望いたします。

(5) 参考にすべき他自治体の情報公開
  情報公開の進んでいる他自治体の事例は以下の通りです。熊本市のように、学校名を公表しつつ、「誹謗中傷に対しては弁護士と連携して毅然とした対応をとる」とするなど、プライバシー保護と誹謗中傷対策の両立をはかる姿勢は藤沢市でも参考にすべきと考えます。(なお、学校名を公開している自治体は、臨時休業を伴うケースのみ公表していることが多いようです)


(学校名、臨時休業の範囲・期間など)


  なお、健康や命に関る情報であるにもかかわらず、このように、学校における感染情報の公開の度合いが自治体によってばらつきがあるということは問題であるということが近時各方面で指摘されております。ご参考に報道記事を資料として添付します。


参考記事:コロナ第4波、小学校でもクラスター 自治体によって「公表」にばらつき(資料48)

 

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